構造解析に基づく設計支援

複合材料設計

CFRP (Carbon Fiber Reinforced Plastic : 炭素繊維強化プラスチック)とは

複合材料の一種で、炭素繊維 (長繊維)を一方向に並べたり織物にしたものを樹脂で固めたものであり、軽くて丈夫なため航空機をはじめスポーツ用品(釣竿やゴルフクラブ)などに多用されています。ただし、繊維の方向によって特性が大きく異なるため、望みの特性を得るためには構造物の形や荷重のかかり方を考慮して繊維の種類や向き(繊維配向)などの組合せを決定する必要があります。ここでは長繊維を前提として説明を進めますが、この他に短繊維があります。短繊維の場合には繊維がランダムに配向するため特性の方向依存が小さくなります。

成型前の材料

主として下記の3種類です。

炭素繊維の糸。織物にしたりパイプ状のものに巻きつけて(フィラメントワインディング)使用。
織物 炭素繊維を織り、シート状にしたもの。
プリプレグ

炭素繊維を一方向にそろえてシート状にし樹脂を含浸したもの。
上記の織物に樹脂を含浸したものもある。

CFRPの特徴

  • 繊維方向は強度・剛性が高い (鋼の数倍)
  • 繊維方向は線膨張係数が小さい (-2×10-6~+2×10-6/K)
    参考 鉄:12×10-6/K,アルミ:23×10-6/K
  • 密度が小さい (1.6~1.7g/cm3)
    参考 鉄:7.9g/cm3 アルミ:2.7g/cm3
  • 繊維と直交方向は樹脂の特性が支配的
  • 繊維に導電性がある

注意点

  • 繊維と直交方向は強度・剛性ともに弱い
  • せん断荷重が加わる場合には45度方向にも繊維を入れる
  • 製造性(成型時の割れやそり)に注意が必要
  • 等方化(どの方向でも強度・剛性が同じになるように繊維を配向)するとあまり重量メリットがない
  • 価格を考えると重量の制約がなければ鋼やアルミ合金の方が使いやすい
  • 複雑な形状は作り難い
  • 強度・剛性の評価が複雑(CAEが必須)

CFRPのメリット

以上のような特徴を生かすことにより、方向を限定すれば鋼を上回る高剛性を得ながら軽量化・低熱ひずみを実現できます。力のかかり方がある程度特定できるもの(ex.トラス部材)に使用する場合に効果を十分に発揮させられます。

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